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森は負けた

2018. . 13
別に、どこかの森選手が勝負に負けたという話ではありません。

先日試走にいってみた風景。

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近所の山なんですけど、これ別に、伐採してるわけじゃないんですよ。
先日の台風でやられたものかと。

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折れる倒れる、曲がる。全部杉の木ですね。檜もあるかもしれんけど、いわゆる針葉樹林。
ここら一帯は戦後に植樹された人口樹林なんでしょうね。
樹の生え際を見ると土砂も流出しています。

いわゆる『緑のダム』という考え方があり、森林を保護する事で水災が防げるという話がありまして、これは元を正せば土着信仰の「山を荒らすと罰が当たる」という迷信に端を発していると言えましょう。その理屈を森林の保水力に当てはめたのが緑のダム理論であり、山が健全ならばダムはいらない、といった大変美しい情緒的な主張があります。

これの根拠は、降った雨は森林が吸い上げる分もありますが、半分は土壌に浸透し保水されています。その土壌は森林の生み出す落ち葉や、そこに集まる動物などが作り出します。高い木の元にはほどよい陰が形成され、生物の育成にはほどよい湿潤性を維持する事にもなります。

しかし、森林が消失すると保水力を持つ土壌が維持できず流出してしまい、降った雨がそのまま山の表面を削るようにして土砂となるため、再び生物を育む土地となるには何十年もの歳月をかけねばならなくなるのです。

ただ、森林であれば何でもいいのか、木が生えていれば何でもよいのか、というとそうではないという話もあります。
針葉樹は成長は早いのですが、その分組織も脆いので木としては柔らかいです。おかげでその加工のしやすさから現在でも頻繁に建材に使用される訳ですけど、針葉樹は土壌表面に根を張るので、土壌の補強と保水に関してはあまり向いていないのが事実です。

対して広葉樹というのは、堅い木が多く、曲がりが多い、生育もそれほど早くはないので、建材としては不向きなんです。
ただ根は広く深く張るうえ、落葉を毎年繰り返すので、山の環境を維持するには広葉樹が多い方が理にかなっていると言えます。

今の日本の山のほとんどは人工林でして、国土の70パーセントが森林で、そのうち40パーセントが人工林、すなわち杉林という事です。その事実を考えてみると、国土の70パーセントが森林で覆われている美しい日本と言ったって、結局ほとんどが「材木生産工場」じゃねーかと。

でその工業被害として花粉症が多発していると。

うん、山を怒らせたからだね。

とはいえ、主な建材は国内で調達するより輸入した方が安いため、また林業に携わる人の減少なども関係して、現況は管理もせず、材木として使いもしないで放置されている人工林が多数あります。
おそらくこの様な事になった森は台風被害の各地で散見できるのではないでしょうか。 まさに放置し杉で倒れ杉。

というわけで、これからは広葉樹を植えていきましょう。花粉症もなくなるし、きっと秋は紅葉が綺麗ですよっと。





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