たまーにこういう仕事もあります。
バイク屋さんからの依頼。

かつて一世風靡した、ヤマハのTW200ですな。
このTW、デビューは87年で、もともとオフロード車。バルーンのブロックタイヤを穿いていた、市販車としては世界唯一無二のバイクでした。砂地や泥、雪なんかの不整地で活躍することが出来ると、半分はレジャーバイク的な側面がありました。
当然、というか「そういう走り」を目指したバイクなので、クッソ恰好悪かった。もう、なに? なんでTW? バイクそれしかないの? 的な扱い。
それが90年代の半ばにストリートカスタムというカテゴリーに編入され、大躍進、一気に人気車種となり、ストリートを席巻したのです。

車検のない250枠内という制限により、わりと自由にカスタムが出来たのも人気の一つでして、おもにフレームとエンジンを見せるため捕器類を出来るだけ見えないところにリロケートしてスカスカに見せる「スカチューン」なる手法が確立。さらに鈍重なリアタイヤの存在感を際立たせるロングスイングアーム、通称「ロンスイ」が定番でございました。
いずれも走行性能には何ら寄与しないばかりか、むしろ悪くするだけのデチューンだったんですが、人気でしたねぇ。
で、無粋にも、リアのシートレールをカットして、さらにボバー的にカスタムと。

パイプ斬りっぱなしじゃカッコ悪い。
そこで私の出番です。ネイルアートしちゃったー、ではなくこの爪みたいな部材を使います。

切ったところに被せます。
この加工のポイントは、本来ある部分を「切ったように見せない」というところにあります。
切って加工してるんだけど、元からそのようなものだった、というふうに見えれば成功です。

ぴやっぴやっ、とフレームに部材を溶接で張りつけてゆきます。

サンダーとやすりで形を整えます。

こんな感じ。
予算があるならもっと凝ったこともできるんですけどね。
こんなこともできますよ、というお話です。
最近はノーマル至上主義みたいになりつつありますけど、やっぱりカスタムは面白いです。私は作るだけで乗る方にはあんま興味ないんですけど(――ないんかい)
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