
空冷ワーゲンにはミッションマウントというものがあります。
ですがエンジンマウントというのはありません。タイプ3にはそれらしきものがありますが、どちらかと言うとサポートマウントと言ったところで、なくても大丈夫です(あった方がいいけど) タイプ2のレイトモデルはミッションマウントとエンジンマウントが併用されてます。
ビートルはすべてミッションマウントのみで、エンジンはフローティングで、ボディには直接くっついていません。要するにミッションにぶら下がっているという事です。あのくそ重たい(といっても80キロくらいですが)エンジンを支えているのは3つのちょっとしたゴムです。
フロントに一つ、リアに二つ、合計三つ。
昔から三人寄れば文殊の知恵とか、一本の矢は折れるが、三本束ねると折れないとか、ザンボット3とか、ゲッターロボとか、サンバルカンとか、サンタクロースとか、とにかく三つ揃うと強いのです。

これがフロント側のマウントでんな。ほとんどマウントの形状は変わっておりません。高年式73年から変更されましたが、なぜ今さらという感じではありました(よくはなってるんでしょうけど)
ちなみにこれ、まあまあ固い黒いゴムですが、ウレタンというさらに固い弾力性のある樹脂を利用してるスペシャルパーツもありますが、保管状況によって、硬くなって割れる恐れと、加水分解という化学分解してしまうことがまれにあります。ほとんど大丈夫ですが、どちらがいいのかというと、どっちでもいいです。総合評価ならどっちもどっちって感じですな。
というのはミッションマウントは、エンジンの振動をとる役目と同時に、エンジンミッションとボディを結合するパーツゆえに、動力の挙動はこのミッションマウントが一旦引き受けるわけです。
したがって、ふにゃふにゃだと振動は伝わりにくく、快適なのですが、初動の際に力が抜けてしまい思うような発進が出来なくなります。
これ、ストリートじゃまず問題にはならんのですが、ドラッグレースなどというコンマ零秒を争うマシンとなると、このマウントのロスも看過できんわけです。それでミッションもエンジンもがっちりボルトで締結して、一体化させてしまいます。当然振動の逃げ場はなくなるので乗り心地は最悪です。が、ダイレクトに動力が伝わるので、瞬発力が上がります。
ま、一般人には関係ない話です。そこで、ノーマルよりも少し硬くかつ乗り心地も悪くならないウレタン製マウントなどというものが生まれたんですな。

これが交換したマウント。
ただ一筋に~ただ一筋に~ひびが入ってるぅ。もう千切れるのは目前でした。
これ、千切れるとどうなるかというと、ミッションのフロントがアソビ、クラッチミートと同時にガクンガクン、とシフトレバーも暴れるし、ギアが抜けたりします。ギア抜けの原因はこれだけではありませんが、まあ結構重要な部品です。
お察しの通り、交換するにはエンジンとミッションを降ろさなくてはならないので、まあまあ大変です。この辺りは考えてほしかったものですよねぇ……
てな感じで
スポンサーサイト