ワーゲン四方山話その9 「ワーゲンと税金その1」

2012. . 21
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足つけ(下地)作業です。今回は簡易スピードバージョンですので窓ゴムも外しません。

ここのところ雨や曇りやで寒い日が続いており、塗装関係の仕事には向かない天候なのですが、ヘルムではなぜかこういう時に限って板金塗装することが多いです、昔から。

そういやふと思い出したように湧いて出る話題が軽自動車税の値上げ論争なんですが、歴代政権が成し遂げられなかった税制改革の裏には、『軽自動車は庶民の足』という不文律が横たわっていたからでありまして、地方に行けば一人に一台は当たり前であり、自動車の体をなしている乗り物がなければ話にならないという環境が実のところ日本の大部分を占めている現状があるためです。

もっともその現状を永田町の人間はもとより東京23区内に住み駐車場を保持できない人間からは想像が出来ないのかもしれませんが、比較的安価で維持コストも安い軽自動車は都会と田舎ではその価値や有用性に温度差があることは否めません。

といったあたりでダラダラ塗装風景見るのもなんですから、そんなお話も織り交ぜつつ。


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で、今年度をめどに『環境自動車税』という新税の導入案があるという話が出ておりまして。当然これに庶民は猛反発をするわけでございます。予想では現在の軽自動車税7200円を約四倍に引き上げ、1000ccクラスの自動車税と格差をなくすということで、このあたりの税率を下げて不公平感を減らそうという目論見があるようです。
無論、政府に多くの税金が入ってくるという理屈は何も変わりはありませんし、結局のところみんなで理不尽な痛みを分かち合おうという話でしかありません。

この話で、軽自動車に乗らないユーザーからは常々耳にすることではありますが『軽自動車は維持費が安すぎる』といったもので、現況普通車のコンパクトカーなどと比較した場合、その用途によっては利便性に大差がなく、多く税金を払わなければいけないだけ普通車のコンパクトカーを選択するのは無駄だと結論されることが多い。
つまるところ、そのくらいまで軽自動車と普通車の垣根が低くなってきているという現実があるのであり、これは昔から考えるともはや自動車の種別で税率を設定するのは時代錯誤なことになってきているのではないかということです。

というのも、現在軽自動車と呼ばれるものの多くは、乗用と商用に分かれますが、サイズや規格の問題から商用車は完全に完成の域に達しており、「軽貨物」というもはやこれ以上はないというほどにまで合理的な車体構成を実現しております。
しかし乗用車の場合、上位には常に普通車があり、それに限りなく近い構成をすることが豪華さ、お得感の演出であり、それらを660cc、64馬力規制、サイズ内にバランスよく収めるかの思考錯誤が大きな課題であったことは否めません。

つまり、最初から負けているのだけど軽の利点を生かして、いかにユーザーを獲得してゆくかということが課題であるという妙な理屈の上に軽自動車業界は成り立っているのであります。
では、軽自動車の利点とはいかなるものかと申しますと、これはいわずもがな維持コストの安さにつきます。

軽の燃費の良さや取り回しの易さを挙げる場合もありますが、車種によっては軽自動車でありながらも1トンを超すような車体の場合は逆に小排気量でパワーを稼ぎ出すためターボやスーパーチャージャーの装備は必須になってきますし、そうでなくとも必要以上にエンジンの回転数をかけなければ走らない鈍重な車になりはててしまいます。
実際現在の軽自動車でなかなか700キロを割り込む車体はありませんし、ほとんどが安全装備や豪華装備のために1トンに近い数値をたたき出しております。

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製作記事無視されて、ぽつーん、と佇んで塗装待ち状態。

実際私は軽自動車がここまでよくなることは想像もしていなかったのですが、日本の軽自動車がここまでの進化を遂げた背景はやはり、軽自動車枠という絶対越えられない規制値にあり、そこから踏み出さないで100の枠を限りなく100に近い使用率で作ることをしてきたからだと思います。ちょうど鎖国時代の日本のようなものです。

こういった制限された中での技術はレースシーンなどでも散見されますが、それだけに技術の成熟が可能な領域で、日本の自動車業界は実は他国には得がたい積年にわたるすごい宝を得ているということなのであります。
ただ、この軽自動車が海外市場ではまるで相手にされないという部分が国策として自動車産業を推している日本の国の間抜けなところで、海外では軽自動車枠なんぞないのだから、わざわざ軽自動車に乗りたがる輩などいないのであります。無論安いというだけであればその需要もありますでしょうが、現在の軽自動車は一部の廉価版を除いてはほとんどが100から150万越えで、高くなれば200万に手が届きそうな勢いのものもある。

この値段帯は実際に普通車の小型車が買える値段であり、技術成熟と装備充実のためにそのくらい軽自動車は高くならざるを得なくなったという結果で、そろそろ軽自動車という枠組みの限界、意味喪失に達しているということを示唆しているのではないでしょうか。

コンパクトで良く走る車が定評ならば、日本がもつ軽自動車の技術をフィードバックして普通車にも積極的に応用して海外市場でも勝負できる水準を目指すべきですし、国内の軽自動車枠の上限を撤廃し、税制の細分化を図り排気量別ではなく重量計算で課税してゆく方式にするべきだと私は考えます。

重量が重く車格がある車両というのはおのずと大排気量のエンジンを搭載するか、豪華装備か、あるいは多人数の乗車が可能であるというメリットがあり、対して軽量車はコンパクトカー、プライベートカーと区分することがおのずとできるわけです。それにより軽自動車と普通車の垣根がなくなり、660ccから1000ccまでの空白排気量を埋める新たなカテゴリーも充実すると考えられます。それプラス、現在ある軽自動車がらみの協会、法人などは統合してしまえる分、こちらのほうでも経費を削減できます。無論、当の本人たちからすれば大反対でしょうけども。

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このように足が必要なだけの人にはシンプルな従来型の660ccを最低排気量とするコンパクトカーを軽く安く作り提供し、税金面でも優遇すれば何ら不公平感は起きないでしょうし、現在のような『同じような車なのに税金が違いすぎる』といった不満も起きないわけです。対してたとえば1トンないし800キロ、900キロを超える自動車に対しては排気量如何を問わず一律に課税するという方向性で設定すればよいと思います。

なにより、メーカーは税制上軽量車が有利であるということが庶民の購買意思に直結するという理屈から、軽量化におもきを置くでしょうし、それはおのずとトータル性能の飛躍と燃費の向上という二大メリットを生み出す温床になるでしょう。

無論そこで問題になるのが車検毎に支払う重量税という国税ですが、自動車税を重量制課税にした場合は名目を『車両にかかる税』ではなく本来の『車両運行に対してかかる重量および環境負担税』とし、年一回の自動車税徴収に現在の重量税を分割吸収して課税すればよいのだと思います。
つまるところ、重量税にて道路の保全が保たれているという理屈を踏襲するなら、車重、車輪の数および最大出力から道路へのダメージの大小を考えるということと同義の、ユーザーが道の上でいかに快適に利益的に運行しているかを基準とすべきです。特に二輪車などの場合、高速道路の料金や、自動車税、重量税など四輪で5人から4人乗車が可能な軽自動車とほぼ遜色がないのはいかがなものかと思います。

はっきり言いますと、普通車の車検時に同時に支払う法定費用は車検費用総額に対し割合が高すぎますし、そこがネックとなって必要で十分な整備をためらうという御仁が多いことも否めないでしょう。そういった二律背反を抑えるためにも自動車にまつわる定額税は一本化、一元化し、効率よく税徴収することで全体的なコストダウンを行うべきでしょう。

ですから私は、660ccの軽自動車の税制は今のままで構いませんが軽自動車枠の撤廃、自動車全般の扱いを統合することには賛成です。数年前にやった『リサイクル券』なる解体時費用強制収納制度が導入された際、いったいどんな計算式なのか珍妙な額を個々の車両に設定した苦労を思えば何もあんた、そんな大変なことじゃないでしょうに。

つまるところ、自動車をエンジョイしたい人や贅沢がしたい人はそれなりに税金を払えばよいことで、ただ単に移動手段を得たい人はそれなりのものを選べばよいということです。
環境問題や、安全性能などで何かと不利な立場に立たされることが多いワーゲンを含む旧車勢ですが、幸い我々は税制により車種の選択をするというほど広い心を持っていないため、これらの問答に右往左往することはないというのが現実です。

ま、それがお幸せなことなのだと私は信じて乗っていますが、現行のまま自動車税は一割増くらいで押さえていただき、重量税は優遇されずともこれ以上上げないでいただきたいなということは本音として言っておきます。




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