1977の憂鬱

2011. . 14
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奥から引っ張り出してきた在庫。シルバーの77年インジェクション。

これ、知る人ぞ知る、一体いつからあるんだ?ぐらい実は古参で、どうも売る気がなかったというかやる気が出なかったというか、日々に忙殺され忘れ去られた一台となっていた不遇な車です。

実はスゲー状態いいんですけど、実はスゲー調子いいんですけど、インジェクションのシステムのせいか、エンジンがかかったりかからなかったりと気まぐれなことだったので、なんとなーく放置プレイでお仕置き状態だったんです。(つーか、早く直せよ)

インジェクションのシステムは複雑で原因究明に何かと苦労するんです。
そのためキャブレター方式に変更している車も結構多いです。

つーわけで、ちょっと高年式の話
1979年のアメリカンコンバチ1303、1978年のリミテッド・グローリーを抜きにすれば実質上本国生産最終年式になるのが1977年のインジェクションモデルとなります。

この頃には既にゴルフの生産も始まっており、世は水冷か真っ只中、いわゆる排ガス規制も施行され空冷車にとっては苦難の道を進むことになる時代の幕開けだったのでありました。

空冷のVWが続かなかったのは何もこのせいだけではございませんが、まあひとつの時代が終わった年ともいえましょう。ただ、不思議なのはインジェクションモデルはこの1977年式だけ(日本国内においては)にとどまっており、先にも後にもビートルは上記の二車種を除けばこれっきりとなっておりまして、何ゆえ?とも思えるのですな。

当時の開発陣もこの空冷キャブ車のコンパクトなエンジンルームにぎっちり詰め込むインジェクションシステムに疑問を感じていたかもしれませんが、どうも一から部品を作るほどの価値があったのか、それともまだもう少しビートルは息が長いものとして見越していたのか、レイアウトは秀逸といえどはっきり言いますとかなり無理をしているといわざるを得ません。

従来のキャブレター方式からすれば、ハーネスの新設からインマニに始まる各セクションの部品製造、エアクリーナーボックスは大きく位置を変え、おそらくリアフードとの干渉を考慮してか、妙なカットラインが随所に入るという造形をなしています。

ふつうに、「これって、システム装着してから現場合わせでレイアウトしたんじゃないのか」と思えるような無理やりさを感じます。

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ですんで、なんとなーくインジェクションのエンジンは美観を損ねるというか、「らしくない」感じがしております。あくまで私の主観ですが。

ちなみにメキシコビートルもインジェクションシステムなのですが、彼らの方式はこことは少し違っていまして、もう少しすっきりしています。

インジェクションというのは何かと今更ながら申し上げますと、いわゆる電子制御燃料供給機構で、コンピューターがアクセル開度や気温やエンジン温度を感知して「最適な燃料の量」を供給するという仕組みです。
これまでのキャブレターと違うのは、基本的に季節や高度で調整が必要ない、空燃比が一定に保たれてより安定したエンジンの稼動ができ、始動も容易、最大パワーをベストなコンディションで引き出すことが出来るよう設定された、過去の燃料供給器からすれば夢のようなシステムだったわけです。

しかしながら時はインジェクション黎明期、燃料噴射制御コンピューターといえどLSIなんてものがやっとこ出始めた頃ですし、まあすでに10年前にはアメリカが月に行っていたりするんですが、どうもやっぱりこの頃の電子機器というか電子技術というのはエラーの可能性を秘めているというか、各種のセンサーが熟成していないせいもあるんでしょうけど、安心ならないと言わざるを得ません。

現代でこそインジェクションは当たり前になり、バイクですら今はほとんどがインジェクションに摩り替わってきています。これは部品の信頼性もさることながら昨今の厳しい排ガスの規制上排気側の触媒だけでは対応しきれなくなったせいもあります。

ですんで、この業界では最高年式、技術の粋を集めた究極のビートル、1977年インジェクション!

とはなかなかいい難く、古い車は部品の供給が止まりがちになり、対応する電子式診断装置もありませんから、特にこの手のマイナー年式のものは中古部品に頼らなければなりませんゆえ、修理に手間取るといったことが起こるわけです。これらは別にビートルに限ったことではなく、このあたりの時期の車というのはメーカーの技術そのものが迷走しているため、無駄なことをしている感は否めませんし、そのため後年になってから改良改造が加えられたりと、より一層マイナー路線に落ち込んでいったわけです。

こう書くと「やっぱインジェクションはダメだな」と思われるかも知れませんが、私の経験上最終年式の良さは「かなり状態のいい個体が現存すること」であります。
時代の狭間のせいなのか、長く乗られなかっただろうと思われる固体が以外に多く、低走行(10万キロ以内)で無改造フルオリジナル、おまけに再塗装暦もなしのワンオーナーといったものが多いです。特に1977年式は。

さらにエンジン、ミッションは過去からの技術開発の蓄積がありますから、やはり熟成されています。実際速いですしね。

皮肉なことに開発陣が苦労したインジェクションを外しても誰も惜しみませんが、単純にオリジナルに程近いエンジンとボディ、内装を維持している個体ということではやっぱりいいものだと思いますし、割り切って乗れるかな、とも思います。長い歴史を持つビートルならではですね。

いままでなかなか出来なかったのですが、今期はぼちぼちとこの車体のレストアをはじめていこうかと思っています。

ま、興味のある人はまた覗きにきてください。
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