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外れない

2023. . 03
夏祭りのクジは当たらない、のが当たり前でしたけど。

古い車。作業をしていると、ボルトが外れない、なんて事はあります。
取れないってのは要するに、まわらないって事なんですが、同じまわらないにしても様々なケースがあります。

一番多いのは錆び付き。これは単純にネジの嵌合部が錆び付いてしまっているという状況、想像すればわかるかと思いますが、ボルトや相手側の材質がよければ、パワーでまわります。もしくは浸透潤滑剤(556的な)でスルッと錆が溶けてくれます。

たまにあるのが、ボルトが錆びるのが嫌だという理由で、鉄のボディ(母材)に対しステンレスのボルトを使用したりするケースがありますが、これはステンレスは鉄よりも硬度が高いものが殆どで、締め込んだ際に、鉄に噛みこんでしまい、次に外すときはボルトかボディかを必ず破壊するという恐ろしいことになります。いわゆる「噛み込み」といいます。


また、全てではありませんが、異質の金属(ステンレス、アルミ)なども含むの間では電位差があり、触れあっているわずかな隙間で、ごく微力なスパーク状態が起こって、腐食させてしまいます。これを「電触」っていいます。場合によっては一体化のような状態になり、めちゃくちゃ外れにくくなることもよくあります。

あと、これもよくあるケースで、ボルトの頭が錆びて工具がかからなくなる、いわゆる「ナメた」状態になった時ですね。六角のボルトならなんとかまだ掴めますが、丸のプラス頭だと大抵は中心に穴を開けて、エキストラクターという工具で抜いたり、神業のようにド中心を抜いてボルトそのものを除去、ボルト穴をタップで修正したりします。

これはスタッドボルトが折れた場合でも対応は同じですが、回すアクションまで出来たとしても、それでも回ってくれるとは限りません。浸透潤滑剤で効く場合もありますが、ほとんどの場合、回らず折れてしまうようなボルトは抜けません。

私達は、そういった、「もう無理なんじゃね?」というケースに対して様々な対応策や、工具を駆使して作業を進めています。
その一つとして、火で炙る、という方法があります。

IMG_8724.jpg

炙るのは、ボルトとその周辺だけに収められたら理想なのですが、えてしてそんな都合の良い環境は整っていません。取れないところに限って、工具がはいらない、回すクリアランスがない、リーチが足りない。という何十苦も重なっています。しかも今回はミッションマウントのボルトで、ボルトが刺さっているマウントのゴムで固定されたアルミスリーブが電触で固着していて回らないというケース。しかも回そうとしても、周りのマウントのゴムが回転トルクを吸収してくれるという親切仕様。

じゃあ、エンジン側のマウントベースの方を外せば良いじゃんかと思うかもしれないけど、こっちもボルトが堅くて回らない。なのでミッションマウントのボルトを炙る。

炙ったら、マウントのゴムが燃えますが、致し方なし。この状態で30分以上燃やし続ける。
エンジン周りでこんな直火出したら不味いんじゃないのかと思われるかもしれませんけど、引火するかしないかってのは、ちゃんと管理してたら大丈夫です。(真似はしない方が良いけど)メラメラ燃える火というのは意外に温度低いのですよ。

外し方としては愚も愚です。マウントダメにしちゃいますし、最終手段です。(これで外れなくても、あと数手はありますけど)

もちろん私もここまであらゆる手を講じた結果です。だから車屋ってのはアホみたいに色んな工具があるんです。その、いくつ手段をもっているか、ってのは技術職の能力だと思いますし、知識も含めて財産だなと、思います。技術の世界は未だに私が知らないこともたくさんありますよ。

IMG_8726.jpg

降ろしたった。
今日めちゃくちゃ暑いんですけど。

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で、外れない、第二弾。

写真はゴルフですが、空冷ワーゲンでも高年式の方は、コラムシャフトアウターがボルトで外れないようになっています。
これ、名前はあんまり知られてないですが、ブレイクボルトとかブレークオフボルトとかいいます。
締めたら規定のトルクで、ボルトの頭がちぎれるようになっていて、外しちゃいけないところに使用するものなので、当然外さなきゃいけないときは苦労します。

よくわかんないんですが、ここにブレークボルトを使う理由って、ハンドルロックが簡単に解除されないようにする為だけ、なのかな。(コラムのアウターとステアリングシャフトの間で施錠される仕組みなので、コラムのアウターが回ればハンドルは回せるという寸法)

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ま、防犯目的以外ではまずブレークボルトは使いませんから、そういうことなんでしょうね。

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大体タガネで叩いて外すんですが、片方はクリアランスなさ過ぎて失敗したので、別の方法で掴み代を作って取り外しました。

とりあえず、私らの仕事ってのは外すことが殆どなので、いつまで経っても景気の波に乗れないで、時期を外しまくり、貧乏暇なしをし続けるのですよ。



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