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君たちはあの草の名を知らない

2022. . 01
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ちょくちょく出てくる、花屋で働く友人のお話で、お客から「あの草ってなんですか」という質問がしばしばあるそうで、「は? 草?」と友人は質問の意味がマジわからないので、そういった素っ頓狂な声を出してしまうのですが、それもそのはず。

いかにもOLな彼女が指刺しているのは、いわゆる観葉植物だからです。

観葉植物のことを、“草”としか表現できない。

たしかに草というのは“葉”も包括しているので、間違いではないのですがニュアンスというか、あまりにそう呼ぶにはざっくりしすぎているのです。
あえて、草の定義を生物学的に書くと、“一年生草で、木のように木質部を形成しない植物の総称”、ということらしいです。

なので観葉植物を指して「草」と呼ぶのは間違いです。
また、切り花になった商品を指して、「これって育つんですか?」とも訊く。それに対して店員が「育たないですよ、根を切ってますから」と答えると「じゃあ死んでるんですか」とも。
さらには、木の枝を地面に刺したら、木が生える、と信じている人もおり、「生りませんよ」というと、「ええ! じゃあ木ってどうやって出来るんですか?」とマジで驚かれるらしい。赤ちゃんはコウノトリが運んでくるのだと信じているようなものです。

友人は、まるで幼児と問答しているようだという。

ものを知らないのか、言葉を知らないのか、いずれにしても本人は気づいていないだろうけども、格好の悪い話です。その驚きようからして、本当に知らないらしい。

言葉を知らないというのは、語彙力の問題でもあるのだけど、例えば「植物を植える」という行為において、種や苗を地面に埋設することを一般的には「植える」というのだけども、それを知らないと行為そのものの様子から「埋める」と表現してしまう。
間違ってはいないが相応しくはない。
埋めると植えるの違いは、植物かその他のものか、とも言えますが、それよりも、はっきり言うと「生きているものか死んでいるものか」という不可逆性の相違ではないかと思います。

なので生きているものを「埋める」のも、死体を「植える」もクレイジーなのでやってはいけないですから、そういう使い方はしないほうがいいと思います。

ただ、こういった人が増えるのはどういうことなのか、とは疑問を感じます。
メールや、ネットで明らかに文字を読む機会は増えているはずだし、書く(打つ)機会も増えている。それなのに何故語彙が育たないのか。「学校教育がゆとりだから」、という言い訳はもはや通用しないでしょう。かつてゆとり世代と言われた人でも(たぶん)立派な社会人です

私が思うに、残念ながらこの問題はもっと根が深いところにあると感じています。

植えると埋めるの違いは、明確に学校で教えて貰うようなことではありませんし、花や植物の名前を事細かに教えてくれる教師もいません。だけども我々はなんとなく、植えると埋めるの使い分けが出来ているし、埋設、埋蔵、埋没、などの熟語も駆使しています。それにわずかながら花の名前も知っているし、どういったカテゴリーの植物かも見ればだいたい分類できます。

おそらくは、これらの知識は意識して習得したものではなく、偶然や、必然性に駆られて、何らかの行為や会話により、ピンポイントで得ていったものだと思われます。
多くの場合、これらは体系的に習得したものではないから、知識というよりも、単なる記憶に近いのでしょうけど、それらを適切なタイミングで用法を間違えずに使用できるほどには、慣れ親しんで熟れている、と言えます。

そういったサブ的な知識が育まれにくくなっているのは、文字は打つが、単純に会話が減っている、もしくは異世代間の会話やコミュニケーション、あるいは幼少期における親とのコミュニケーション不足が挙げられるのではないかと思います。
さらには現代のようにメディアがオンデマンド化することで、個々人の興味の矛先が限定化しやすくなり、多様で雑多な無駄を行わなくても良くなることで、知識の空白現象が起きるのではないかと思われます。

今の自分に関係のないことは覚える必要も知る必要もない、というのは間違いではないですが、知識や情報というものはツールであって、今後関係するかどうか、役に立つかどうかは当面わからないものです。
ただ、ツールはなるべく多く持っていた方が対応力も上がりますし、ツールを駆使する技術もあった方が世の中を豊かに過ごせることは間違いないです。なにより人とコミュニケーションをとるのに非常に有利に働きます。

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そんなことお前に言われなくてもわかっている、という人はいいんですが、まあ、観葉植物を草としか表現できないような日本人とはちょっとお付き合いが出来ないなぁ、と。

そんな話でございますが、私は逆にテレビの話(俳優や芸人、番組企画、流行歌)をされても全く解らないので、それはそれでコミュニケーション不全に陥ることがしばしばあります。

以前「えんとつ町のプペルって知らない」と言ったら、「あなた何処の世界の人?」とか思い切りこき下ろしてきた知り合いとは縁を切りました。







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