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ガソリン携行缶

2020. . 02
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私は仕事でも、プライベートでも、ガソリンを携行缶で買うことがあります。

ガソリン携行缶にガソリンを入れる際は、フルサービスをやっている有人スタンドでなくてはいけません。
この常識はほぼ浸透したかなという感じですね。

その昔(20年くらい前まで)は、ポリタンクであろうがペットボトルであろうが、ガソリン入れて溶けない容器ならなんだってオッケーだった。その頃はまだセルフがなかったので店の人が苦労しながらバイクの携行用にしてたちっこいボトルに、ガソリンを入れてくれていた。

それが消防法云々で専用のガソリン携行缶でなくては入れてはいけなくなった。かといって皆がそんなもの持っているわけではないので、各ガソリンスタンドには貸し出し用の携行缶があったりもしました。
それが、しばらくすると携行缶貸し出しには保証金をいただきます、という姿勢になった。
そして、再びしばらくすると、携行缶貸し出しはなくなりました、と変遷していきました。

その後しばらくは、携行缶を下げてガソリンスタンドに行くスタイルが定着していたのですが、携行缶の取り扱いについての注意喚起ステッカーというものを強制的に貼付られました。今更いわれなくても、蓋開ける前にはベントしますよ。

それからまたしばらくして、今日です。

携行缶に給油してもらおうとタンク出したら代わりにバインダーをわたされ、ここに住所名前電話番号を書けと。それから身分証明書を提示しろと。使用目的を教えろ。そのように言われた。
免許持ってなかった。
そこの車屋なんだけど名刺じゃダメなのか?
と、訊くもなしのつぶて。

知ってて当然の常識みたいに言われたので、イラッときた。
「皆さんおっしゃいますが、この付近の車屋さんも同じようにされてますので、ええ、ご理解ください」
なんだろう、この言い方めちゃくちゃ腹立つんだけど。

これ、一般人のガソリン取り扱いについての規制の歴史なんですけど、同時に事故と犯罪の歴史でもあるんですね。

ポリタンクが規制されたのは、おそらく保管していた場所で大規模な火災があったのでしょう。現実問題ポリタンクでも携行缶でも蓋が開いていれば危険度に違いはないのですが、ポリタンク保管は危険物への取り扱い意識が低下する、ということと、灯油などと混同してしまう恐れがあり、ストーブなどに誤って給油してしまう可能性を危惧したからでしょう。

では次の段階。携行缶運用が決められ、携行缶貸し出しがなくなるまでに何があったのか、といいますと、これはもうご想像通り、携行缶を借りて返さない人間が多くいたということです。保証金も5000円ほどの額を取っていたはずですが、それでも返さず借りパク、もしくは適当な場所に放置したのでしょう。実際想像するに、ガス欠等で困ってガソリンを買いに来た、携行缶を借りてガソリンを給油、用事が済んだからそのまま立ち去った。普通にあり得る行動です。ガソリンスタンドに携行缶を返しに行くという発想はあまりにも定着しなかった。もしくは、めんどくさいからいいや、と。

その後、携行缶の貸し出しがなくなり、携行缶に注意書きがなされるようになったのは、花火大会の現場で携行缶のベントをあける前に、給油口を解放したバカが、内圧の上がった携行缶の中のガソリンをまき散らし、夜店で扱っていた火元に引火し、結果傷害致死罪にまで発展した、実に痛ましい事故による結果です。

もうおわかりだと思います。

今回の身分証明書の提示ってのは、昨年の京都の放火事件からです。
大量のガソリンを購入し、大量の人を殺した、かの殺人鬼の所業が、今回の規制を作りました。
身分証明書の提示、使用目的の確認、販売記録の作成。

今年の二月から行われるようになった、販売方法です。
別に安全を求めていることに異議はありません。

ですが、これで、ガソリンを購入できなくなったわけではなく、保身に走る人間が少しだけガソリンが購入しにくくなった。その程度の話です。当然ですが、購入記録をとっていたとしても、それはいわゆる犯人逮捕に役立つだけであり、抜本的な犯罪抑止にはならないのではないかと思われます。今から放火をしようとしている人間が、使用目的欄に「放火」と書くはずがありません。

私がイラッとしたのは、この規制が敷かれた経緯を思い出したのもありますが、こんなものを書いたところで何の抑止になるのかと憤ったからだと思います。奇しくも過去に起きた事件や事故が、未来の安全を作り上げてゆく。これには一定以上の説得力があります。ですが私が言われた『決まりは皆さん守っておられるので、あなたも従ってください』という文言が気に入らなかった。

書くことに抵抗感がなかったかというと嘘になる。そんなもん省略しても良いじゃネェか、融通利かせろよ、と思ったのも事実だ。

だけど、身分証明書の提示、使用目的の確認、販売記録の作成は、皆がやってるからやるもんじゃないだろう。
これから起こるかもしれない犯罪行為を抑止するためじゃないのか。抑止効果があると考えるからじゃないのか。

だったらガソリンなんか売らないほうがいい。
そういう結論になりやすい。
そうだと思います。
でも圧倒的に正常な扱い方をする人間の方が多いから、販売そのものを規制しない。

しかし、極々一部の、それもたった一人の人間のせいで、世の中が規制されることがある。
その一人の人間の不法行為があったせいで、皆が煩雑な手続きを踏まなければならなくなる。

雑多な人間が同じ場所で過ごしている世界だから、仕方のないことかもしれません。
でも、やっぱり、時に、真面目に決まりを守り、よかれと思う行動を選別して実行してゆく人が圧倒的に割り食う世界だと。
何も考えずに本能のまま、動物のように恣意的に振る舞う人間に相当配慮して生きなければいけない世界だな、と。

しばしばやるせない気持ちになります。




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