今日、何気に在庫車のリアリッドを開いてみると、エンジンルーム内に粉のようなものが落ちていた。
なんじゃこれと思ったら、目の前にこれです。

なに? わからない?

これよ。

真冬の越冬隊。
これ、かなり珍しいと思います。
通常蜂は越冬しません。
蜂(アシナガバチやスズメバチ)は冬になると、女王バチになる(予定の)一個体だけが、巣とは別の場所に移動して冬を越し、春から巣作りをはじめ、働き蜂を増やしてコロニーを作り上げ、秋口まで活動します。その後寒くなると働き蜂は死んでしまい、女王バチになる予定の一個体だけが生き残るという寸法で、その年に作った巣は二度と使うことなく放棄されます。
ですので、この真冬に働き蜂が巣に身を寄せて寒さを凌いでいるなんていう光景は実に興味深く、哀愁漂います。
で、調べて知ったんですが、実はミツバチだけは巣の中で越冬するそうで、働き蜂らが共に身を寄せ合って体温を保つのだそうです。しかも個体寿命が長い奴だと3年とかもあるそうです。これは習性というより生態の違いなので、どちらが強いとかの話ではありません。ミツバチが越冬できるのは春から夏にかけて集めた花の蜜を保存食として貯めているからだそうです。
対してアシナガバチやスズメバチは肉食で、蜜を集めるということをしないので食糧が尽きると寿命も尽きるという寸法だそうです。
そうも考えるとアシナガバチやスズメバチの一年間の生態は、1から始まり1に終わるということになります。
要するに、独身だった女の子が、成熟した女性として成長し、やがて結婚して、子供を産んで、大家族を形成して、老いて死ぬ間際に娘を一人だけ残した。ということになります。人口的には増えないんですね。
それって意味あるのか? と人間的には思うかもしれませんが、実はあります。
蜂の一生が一年だとすると、ただ生まれて死んだというだけに見えますが、蜂のような生き物は巣であるコロニーそのものが一つの生き物であると考えるのが妥当だろうと考えます。
実は越冬の際、女王バチは数匹のオスバチを引き連れて巣を離れます。
それは、外部コロニーの女王バチと自身らのオスバチを交配させるためです。
互いに別々のコロニーの遺伝子を取り込むということなんですね。同族交配は遺伝劣化するのでだいたいの動物は嫌がるみたいです。植物も同じくです。
遺伝子の多様性を持たせるのは、優性な遺伝子を選別し、種としての耐性を強くするためであり、緩やかにでもそれは、種の進化に繋がるのかもしれません。
つまり蜂は、蜂単体でなく、蜂の巣単位でもなく、蜂の種族全体で、種の保存を行っているということなんです。
言わずもがな、全ての動物界も広い目で見ればそれそのものなんでしょうけど、ただ、人間の世界は、同族で殺し合い、弱い者が追い落とされて、強い者だけが君臨する世界です。
力のある者はそれを、神の采配による選別であり、淘汰だと口々に言う。
自らの欲望を肯定化するために、自然科学を引用する。
どうにも人間とは、傲慢で浅ましく、醜い生き物ではありませんか。
夏の間はさんざん蜂退治をしてきた私ですが、今回ばかりはそっとリッドを閉めてしまいました。
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